gafantのブログ

気づいたらアラフィフ‼️

充たされざる者 完読!

カズオ・イシグロの「充たされざる者」を完読しました!

 

カズオ・イシグロは「クララとお日さま」からはじまって
「日の名残」「忘れられた巨人」「わたしを離さないで」と続き
5冊目です。

 

イシグロ作品を読み始めたのは最近のことで、
テレ東の番組に著者がオンラインで出演していたのがきっかけです。

番組が放送されたのはコロナ真っ只中で、
今以上に世界中が混乱していた時期です。
確か「コロナ禍における芸術、文学の役割」みないなテーマだったと思います。
WBSの番組内で大江アナとの対話形式です。)

 

その中でカズオ・イシグロはこんなことを言っていました。



Q大江アナ
「コロナ禍において今文学に求められているものは(文学の役割)何だと思いますか?」


Aカズオ・イシグロ
「・・・大切なのは物語だと思います。伝える手段は何でも構わない、本でもラジオでも、テレビでも・・youtubeでもかまいません。人々は物語を受け取り、考える。何が正しいのか?正しくないのか?深く、よく考える。そして行動するのです・・・」

 


たしかこんな感じのことを言っていたとおもいます。
その言葉が気になったのか、新刊「クララとお日さま」の購入に至ったわけです。


(ま〜カズオ・イシグロのキャンペーンに見事ハマったと言えばそれまでですが笑)



「クララとお日さま」は読みやすく、それほど難しい話ではありませんでした。
ただ読後にどうも納得できない感じがあり、「この人は何を書いたのだろう?」
などと疑問に思ってしまったのです。



比較的若くノーベル文学賞を受賞し、出版された作品は8作品。
しかし世界中に「カズオ・イシグロ」の研究者がいる。

よほどの天才で難しい内容だとおもっていたのですが、
物語は読みやすく平易に書かれている。


そう・・・
どうやらそれがカズオ・イシグロの特徴らしいです。


驚くほど平易に書かれていて、主張のようなものがほとんど無い。
しかし簡単な文章の間には言葉に出来ない感情が隠れてて、
読み手はその感情を読み取ろうとしてしまう・・・


「なにを思っているんだろう?」「うれしいのかな?」「苦しいのかな?」
みたいな感じです。

 

やがて登場人物に感情移入してしまい、
他人事とは思えなくなってしまうのです。


平たく言えば「物凄く!深く!ハマる!」のです。・・・笑

 

 

 

ところが・・・・

 

「充せれざる者」はこれまでの作品とは少し違っていました。

 

 

「完読!」などとたいそうな言い方をしていますが、
この小説は900百ページほどあって、さらに内容に不条理な事柄が多く、
平たくいうと読みづらいのです。(私にとって。)

 

大抵は100ページほど我慢して読むと
リズムやペースがなんとなく掴めてきて、楽しめだすのですが、
この「充たされざる者」にかぎっては700ページこえたあたりから
やっと楽しめだせた感じです。
(基本的に無精で注意散漫な私は本をよむのに我慢が必要なのです笑)

 

なにせ登場人物の場面ごとのセリフが、非常に長いのです。
読んでいるうちに何をいってるのか忘れるくらいです。

 

そして不条理で意味不明な部分が多く
夢なのか、現実なのかわからなくなるのです。
主人公の妄想なのか、パラレルワールドに迷い込んだのか
はっきりとしないのです。

 

主人公のライダーは世界的なピアニストで、イギリスのとある町で
ピアノの演奏をすることになるのですが、なかなかピアノを引けない。

それどころか町中の人から厄介な頼まれごとをして、なかなか前に進めない。

ホテルの老ポーターのグスタフに頼まれ、会いに行った女性ゾフィーとその息子ボリスが
いつのまにか自分の妻と息子になっている。


あまり書くとネタバレになるので、この辺にしますが
話の筋が通ってないのです。

 

途中「ん?どこか飛ばしたか?」と思い
読み返すのですが、どこも飛ばしてない。
ちゃんと読んでいる。読んでいるけど理解できない。

なんとももどかしいのです。

 

寝ているのに「思考のフル回転」を強いられているような感じです。



巻末の「訳者解説」に
「賛否が分かれる作品」「訳すのに苦戦した」
などと書かれていました。

 

たしかに賛否はわかれるような気がします。
しかし翻訳した人(古賀林幸)さんもまた凄い人だな!と本当思ってしまいます。

 

ただ、
非常に実験的にかかれていて、その点では
ネタの宝庫だと思いました。

 

この作品は読み終わるのに約2ヶ月かかりました。
読書が得意な人なら3、4日でよめてしまうとおもいます。

はじめの方にもも書きましたが
私は注意散漫で無精なので基本的に遅読なのです。

 

そんなわけであと3冊読めば
カズオ・イシグロ」全作品は読んだことになるので、
そうしたらまた読み返したいと思います。

 

こんどは1週間くらいで!
そのくらいのペースで通読すれば、
ちがったものが見えるかもしれません。

最後にしれっとリンクを貼っておきます。
カフカドストエフスキーが好きな人なら楽しめるかもしれません。